水リスクに対する取組み

グローバルなサステナビリティ課題として水資源への注目度が増す一方、当社グループの製品および製造工程において「水」は欠かすことができない大切な原料であることから、生産活動による水消費を必要最小限に抑制し、排出水質の維持・向上を図っています。今後もマテリアリティ「将来世代を見据えた地球環境の保全」のもと、水リスクを注視しながら、事業活動を通じた環境貢献に努めていきます。

水消費量の推移

2023年は国内の用水使用量は392千m3になり、前年比12.3%減少、2019年比7.1%増加となりました。海外拠点の用水使用量も前年より20千m³減少し218千m³となりましたが、これは国内生産量の減少と海外子会社製造拠点の譲渡によるものであり、原単位指数(国内外合計)は前年比66ポイント増加となりました。
用水の使用量は製品工程の変更や生産量の増減等により変動しますが、今後も引き続き工業用水や市水の異常使用のモニタリングを行い、各設備の見直し等により使用量の削減に取り組んでいきます。

 

国内・海外拠点の水消費量の推移.PNG

「水リスク」への対応

水資源を含む「天然資源不足リスク」は、「グローバルリスク報告書2024(世界経済フォーラム)」における「今後10年間で最も深刻なリスク」でトップ10(4位)にランキングされています。そうした中、当社グループは国内外全拠点の用水使用量を把握し、水供給、原材料供給、製造工程、工場排水の各段階におけるリスクを明確化し、自然災害による取水制限および浸水リスク、水の汚染による事業停止リスクのほか、当社のサプライチェーンにおける水リスクについての対応を検討しています。

中長期目標を設定

当社は水リスクの低減について2018年より積極的に取り組み始め、2019年からは全社目標を掲げ達成に向けて注力してきました。2023年は各拠点で配管、設備等の汚染リスクの低減活動や水使用の運用方法、自然災害リスクの低減に向けた対策等を検討し、計画に沿った活動を継続して展開しました。その一環として純水棟の本格稼働(郡山)、新規循環冷却設備の導入(宇都宮)、既設冷却設備の水循環率向上(阿蘇)によって水使用量の削減に注力しています。今後も、2030年までに2019年比で国内水使用量を15%削減するという中長期目標の達成に向けて、各種リスクの低減活動に取り組んでいきます。

 

郡山工場の新純水棟.PNG

 

今後の課題と取組み

当社は、生産拠点のある地域での森林保全・水資源保全活動の一環として阿蘇地域(熊本県)や猪苗代湖(福島県)の保全活動に2022年より参加しています。近年は気候変動が水資源に与える「水ストレス」の影響が危惧されていますが、将来的に当社グループの操業地域において取水制限や排出制限等の規制強化が行われた場合、当社グループ工場における水使用に影響がおよぶ可能性があるため、今後も環境負荷低減および事業継続の観点からも、水の循環利用等による使用量の削減や汚染リスクの低減に努めていきます。

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