温室効果ガス排出量の削減

当社グループは、マテリアリティ「将来世代を見据えた地球環境の保全」のもと、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、バリューチェーンで排出されるCO₂をはじめとする環境負荷量を定量的に把握し、生産活動が環境に与える影響を充分に認識することで、環境負荷低減に取り組んでいます。また、さらなる省資源・省エネルギーに貢献するフォトレジストや新製品の開発を進めることにより、社会とともに持続可能な発展を目指します。

基本的な考え方

当社は一般社団法人日本化学工業協会に所属しています。同協会は、経団連の「低炭素社会実行計画」に参画し、(1)国内事業活動からのCO₂排出抑制、(2)低炭素製品・技術の普及によるサプライチェーン全体でのCO₂排出抑制を進める主体間連携の強化、(3)日本の化学製品・プロセスの海外展開による国際貢献、(4)2020年以降の実用化を視野にいれた中長期的な技術開発である革新的技術の開発の4本柱で地球温暖化対策を進めています。当社も「低炭素社会実行計画」に基づき、バリューチェーンで排出される影響も含め、生産活動が環境に与える影響を十分に認識することにより、環境負荷低減活動に取り組んでいます。

1940年の設立以来、経営埋念のひとつに「社会への貢献」を据えて事業活動を行ってきた当社は、マテリアリティ「地球環境の保全」において、「脱炭素」に向けた気候変動問題への対応に取り組んでいます。2020年に策定した長期ビジョン「TOK Vision 2030」においては、新経営ビジョンとして「豊かな未来、社会の期待に化学で応える “The e-Material Global Company™️”」を設定し、「社会的重要課題への持続的な取組み」を経営戦略に掲げています。

2022年1月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、TCFD)」の提言について賛同を表明しました。今後も、TCFD提言への賛同に基づき、気候変動が事業に与えるリスクや機会の分析を行い、積極的な情報開示に努め、当社グループに関わる全てのステークホルダーの皆様とともに、当社グループの事業を通じて地球環境の保全に貢献してまいります。

温室効果ガス排出量 ― スコープ1、2、および3

近年の気候変動問題の深刻化に伴い、企業には自社の温室効果ガス排出量に留まらず、バリューチェーン全体における排出量を把握することが求められています。当社では、温室効果ガスの排出量算定に関する環境省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」などを参考に、事業活動による排出(スコープ1、スコープ2)と、自社の事業活動範囲外での間接的排出(スコープ3)について把握、算定しています。また、2021年より、海外拠点におけるスコープ1、スコープ2の算出も開始しました。今後も企業活動が与える影響をバリューチェーン全体で捉えることで課題を認識し、持続可能な社会の実現に向けた取組みを推進していきます。

スコープ1

11,062t-COe スコープ2 172t-COe
スコープ1(海外合計) 3,103t-COe スコープ2(海外合計) 14,934t-COe

スコープ3排出量(国内合計)

Cat. (カテゴリー ) 名称 排出量
Cat.1 購入した製品・サービス 406,752t-COe
Cat.2 資本財 25,694t-COe
Cat.3 スコープ1、2に含まれない 燃料およびエネルギー関連活動 5,776t-COe
Cat.4 輸送、配送(上流) 15,384t-COe
Cat.5 事業から出る廃棄物 5,335t-COe
Cat.6 出張 207t-COe
Cat.7 雇用者の通勤 738t-COe
Cat. (カテゴリー ) 名称 排出量
Cat.8 リース資産(上流) 算出しておりません
Cat.9 輸送、配送(下流) 該当なし
Cat.10 販売した製品の加工 該当なし
Cat.11 販売した製品の使用 算出しておりません
Cat.12 販売した製品の廃棄 算出しておりません
Cat.13 リース資産 (下流) 該当なし
Cat.14 フランチャイズ 該当なし
Cat.15 投資 算出しておりません

※2023年1月~2023年12月(事業から出る廃棄物については2023年4月~2024年3月)
※出張、雇用者の通勤に出向者は含んでおりません。

エネルギー消費原単位とCO排出量の改善/新たな中間目標への取組み

運用においては引き続き、空調設定温度や運転時間の変更、エネルギー効率の高い冷熱源設備の優先的稼働、夜間の不要な排気装置の停止、就業時間外の不要照明の消灯等を実施しています。また、設備の更新・新設にあたってはLED照明を採用するなどエネルギー効率に留意するとともに、太陽光パネルの設置など再生可能エネルギーの導入により、エネルギー使用量とCO排出量のさらなる削減を進めていきます。

2023年のエネルギー使用量は前年とほぼ横ばい(2022年は前年比8%増)でした。原単位指数では前年比6ポイントの増加でしたが、前述の活動等により2019年比では15ポイント減となりました。エネルギー起源CO排出原単位は、国内の全主要拠点における購入電力を100%再生可能エネルギー由来電力に切り替えたことで、前年比35ポイント減(2022年は前年比31ポイント減)、2019年比では72ポイント減と大きく改善しました。今後は原単位ではなく絶対量ベース、かつ海外グループ会社を含む2030年までの新たな中間目標に取り組み、2050年のカーボンニュートラルの実現につなげていきます。

CO<sub>₂</sub>排出量.PNG

CO<sub>₂</sub>排出量.PNG

物流部門のエネルギー消費原単位の改善

フルラインアップ戦略を展開する当社は様々な製品や原材料として危険物・劇毒物・冷蔵品を扱っており、物流部門では、それらの品質・性能を維持するために安全・正確に保管・輸送することが求められます。近年の製品出荷量は増加傾向にあり、今後はさらなる増加を見込むことから、保管場所の確保や、エネルギー消費量の抑制に向けた輸送経路・輸送方法の最適化に取り組んでいます。2023年は郡山工場からの輸出品の直接出荷を始めたほか、2024年5月からは御殿場工場から流通センターに運ぶ製品の保管等を目的に外部委託倉庫の利用を開始し、倉庫運用の拡充と効率化を図りました。2024年は暑熱対策や業務効率向上策として流通センターにおける屋根建設を開始し、完成後は太陽光パネルの設置により購入電力を削減する計画です。今後も物流の最適化に取り組み、CO排出量削減とエネルギー消費原単位の改善に努めます。

物流におけるCO<sub>₂</sub>排出量.PNG

海外拠点における温暖化防止の取組み

2023年の国内外エネルギー使用量は、国内では研究開発棟や検査等を増設した一方、海外では海外子会社製造拠点を譲渡したことなどからほぼ横ばいとなりました。エネルギー使用量は省エネルギーの取組みのほか生産量や設備の増減の影響も受けることから、これを効率的に管理すべく、エネルギー使用量を含む環境関連データを収集・一元管理できるシステムを2022年に導入し、海外拠点においても、省エネルギーやCO削減効果の可視化に向けて同システムの運用を開始しました。また、TOKグループおよびサプライチェーン全体でのCO排出量削減に向けて、海外拠点のScope3の把握・集計を開始しています。

greenhouse-gases_4.PNG

国内合計(kL) 海外合計(kL) 海外比率(%)
2019年 15,390 9,736 38.7
2020年 16,141 11,104 40.8
2021年 16,359 11,774 41.9
2022年 17,659 11,715 39.9
2023年/12月 17,679 10,915 38.2

拠点別環境負荷データ  

※集計期間:2023年1月~12月

  項目 本社

TTIC

湘南 郡山 宇都宮 熊谷 御殿場 阿蘇 流通 総計
使用量 電力[千kWh] 598 17,977 568 15,880 2,880 72 5,208 3,744 1,251 48,178
重油[kL] 0 0 0 73 0 1 0 269 0 343
都市ガス[千m3] 8 2,742 12 1,195 146 0 300 0 0 4,403
ガソリン[kL] 1 2 1 0 0 0 1 1 0 6
LPG[t] 0 0 0 0 1 4 4 2 32 43
軽油[kL] 0 0 0 21 0 0 0 6 9 36
用水[千m3] 4 100 7 141 17 2 43 74 3 391
排出量 CO[千t] 0 6 0 3 0 0 1 1 0 11
SOx[t] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
Nox[t] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
BOD[kg] 0 18 0 180 20 0 81 58 0 357
COD[kg] 0 21 0 322 47 0 111 83 0 584
廃棄物量 事務系一般廃棄物[t] 12.0 4 1 5 1 1 4 2 1,493 1,523
普通産業廃棄物[t] 4.0 263 7 232 100 1 511 576 36 1,730
特別管理産業廃棄物[t] 0.0 58 2 492 155 1 1,465 748 129 3,050
再資源化率 事務系一般廃棄物[%] 15% 100% 0% 0% 0% 100% 100% 100% 92% -
普通産業廃棄物[%] 0% 34% 56% 48% 13% 100% 2% 80% 37% -
特別管理産業廃棄物[%] - 77% 0% 100% 100% 17% 98% 100% 0% -

※「流通」には、各SPのデータが含まれています。
※二酸化炭素排出係数は2023年度の排出係数を継続して使用しています。
※事務系一般廃棄物:事業所などから排出される産業廃棄物以外の不要物(いわゆるオフィスごみなど)。
※普通産業廃棄物:産業廃棄物のうち、特別管理産業廃棄物以外のもの(産業廃棄物とは事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類など)。
※特別管理産業廃棄物:産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性などの理由によって特に管理が必要とされるもの。

今後の課題と取組み

社会や生活に大きな被害をもたらしている近年の大型台風や集中豪雨といった気候変動は、海洋の変動や太陽活動の変化のほか、温室効果ガスによる地球温暖化や、発電所等からの温排水による海水温の上昇に起因するとも考えられています。当社グループは、このたび設定した2050年スコープ1、2のカーボンニュートラル達成に向けて、各種CO₂排出削減策と省エネ活動を着実に実行することで、この課題に取り組んでいきます。

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