社長メッセージ
社会的インパクト
最先端分野でブレークスルーを実現
東京応化は1940年にファインケミカルメーカーとして創業以来、ニッチな最先端分野に特化した研究開発型企業として、各時代の社会的課題の解決に資する新たな価値を創造することで、持続的な成長と企業価値向上を実現してきました。2022年12月期は、特に半導体の微細化の最先端プロセス向け材料開発に大きな進展があり、相模事業所(現 TOK技術革新センター)の最新設備を用いた製造工程の改善により、回路線幅5nm向けEUV用フォトレジストの性能をさらに高めたほか、2nm半導体の実現に向けて大きく前進することができました。当社は、足元で量産・普及期にある5nm半導体向けEUV用フォトレジストのマーケットシェアを伸ばし続けていますが、同半導体は7nmに比べ消費電力を30%削減し、世界のCO2排出削減に貢献しています。また、2nm半導体は7nmより動作速度を約45%速め、消費電力を約75%削減できる見込みであり、これにより、世界のエネルギー消費量の約1~2%を占めるとさ
れるデータセンターの省電力化やノートPCのさらなる高速化、自動運転車の物体検出/反応時間の短縮も期待できるなど、明確な社会的インパクトを創出できる見込みです。当社は今後もパーパス「社会の期待に化学で応える」のもと、企業風土として根付いた「永遠のベンチャー企業精神」をさらに活性化し、ロングランの研究開発型企業として社会的インパクトの創出に貢献していきます。
市場成長が鈍化・調整局面にあろうとも、
社会的価値と経済的価値を拡大し続ける
このような当社の価値創造におけるコアバリューとして改めてお伝えしたいのが、創業以来のコアコンピタンスである世界最高水準の「微細加工技術」と「高純度化技術」を磨き続けてきた結果、現在、世界の最先端を走る半導体デバイスの「質の改善」に大きく貢献することができている点です。
近年の半導体の微細化においては、露光感度やエッチング性能の進化だけでなく、不純物を極限まで取り除く「ディフェクト低減」が大きな鍵を握ります。特に現行型のEUV露光装置は1台当たり約150億円、次世代型は約450億円とされており、2nm半導体向けの工場を1つ作るには約2兆円の設備投資が必要といわれています。
そうした中で当社のEUV用フォトレジストを採用いただくには2つのポイントがあり、1つ目のポイントは、高額な露光装置の稼動率を高め、より少ない消費電力で多くの半導体を作るためにフォトレジストの「感度」を上げることです。ここで当社の微細加工技術が大きな役割を果たします。そして2つ目のポイントが、フォトレジストなど各種材料や製造プロセスにおける不純物を極限まで除去することで実現する「ディフェクト低減」です。
2022年12月期の半導体市場は前年比3.3%の成長にとどまりましたが、当社は前述の製造工程の改善等によってこれら2つのポイントをクリアし、EUV/ArF用フォトレジストのシェアを伸ばしたことなどから、連結売上高を25.3%拡大することができました。同時にお客様は歩留り改善とコスト低減を実現し、最先端半導体による「便利」「快適」「安全」「安心」「環境に優しい暮らし」といった「アウトカム」を、より安価でより多くのエンドユーザーにお届けすることができています。また、フォトレジストの感度向上やディフェクト低減が、半導体製造プロセスにおける電力消費や水使用/資源廃棄といった「負のアウトカム」を最小限にとどめ、地球環境のサステナビリティにつながっていることは申し上げるまでもありません。
半導体市場は今後中長期的に成長し、2030年には現在のほぼ1.5倍の1兆ドル市場に成長すると予測*されている一方、足元では引き続き不安定な状況にあります。たとえ市場成長が鈍化・調整局面にあろうとも、当社は今後も、最先端分野の競争に勝ち続けながら社会的インパクトの創出に貢献し、社会的価値と経済的価値を拡大し続けることで、2030年のありたい姿の実現に邁進します。
* 出典:ドイツ電気・電子工業連盟(2023年3月)
経営資源
社内外の全ての経営資源に光を当て、
ステークホルダーの幸福度を高める
一方、前述の2030年までの半導体市場の成長予測や当社の「ありたい姿」の実現に向けたロードマップは、ロジック/メモリーなど先端半導体の成長だけでなく、各種センサー/パワー半導体など、微細加工としてはレガシーな分野の成長も織り込んでいます。そこでこのたび、2030年の「通信革命」の成就や「ありたい姿」の実現に向けて社会的インパクトの創出に貢献していくターゲット領域として、「情報端末」「クラウド」といった先端分野に「センシング&IoT」「グリーンエネルギー」などレガシー分野を加えた4つの分野を改めて設定しました。
人類が直面する様々な社会・環境課題の解決や生活の質の向上に向けては、先端半導体だけでなく、レガシー半導体も大きなインパクトを創出します。前述の通り足元では2nm半導体など最先端領域に注目が集まりがちですが、東京応化は、人々の安全・安心な生活をサポートするIoT・センサー向けのフォトレジストも提供しているほか、脱炭素に大きく貢献するパワー半導体向けg/i線用フォトレジストでも世界トップシェアを有し、同レジストにまつわる人的資本や製造資本、社会・関係資本や知的資本にも厚みがあります。巻頭でお伝えした通り、従業員の幸福度の追求を起点に社外のステークホルダーやグローバル社会、ひいては人類の幸福の実現を目指す当社グループは、いま一度これら全ての経営資源に光を当て、ステークホルダーの幸福度を高めていくための手段としてこれら4分野に注力します。各分野で社内外の経営資源をフル活用し、さらなる社会的インパクトへの貢献につなげます。
資本間の相互作用とシナジーを最大化することで、
より大きな経済的価値と社会的価値を創出
そうした取組みにおいて最も重要となるのは、各資本間の相互作用を強化し、シナジーを最大化していくことです。私は、「技術(知的資本/製造資本)」「人財(人的資本)」「人脈(社会・関係資本)」「財務(財務資本)」を当社グループの4つの「稼ぐ力」として定義しています。当社グループのバリューチェーンは、創業以来培ってきた高度な「技術」と、お客様やサプライヤーとの「人脈」によって構築されていますが、その源泉となるのが「人財」です。また、これら3つを強化するためには時に大胆なチャレンジが必要ですが、それを可能にするのが強靭な「財務」の力です。今後も、これら各資本を強化することで、持続的な成長と企業価値向上を実現していきます。
一方、足元では人類が直面する課題がますます高度化・複雑化し、VUCAの様相がさらに強まる中、当社は今後も「永遠のベンチャー企業」として、当社よりも規模が大きく、当社と異なるキャッシュ創出構造や事業ポートフォリオを持つ競合他社に勝ち続けるビジネスモデルを展開していきます。そこで、各資本をさらに強化していくことはもちろん、資本間の協創をさらに深めながらシナジーを最大化することで、より大きな経済的価値と社会的価値を創出し、優位性のさらなる強化と社会的インパクトへの貢献につなげていく考えです。
事業環境認識
中長期的な事業機会はかつてない規模に極大化
2030年の売上高2,000億円の達成を目指す「TOKVision 2030」からバックキャストした「tok中期計画2024」の1年目であった2022年12月期の業績は、前述の通りEUV/ArF用フォトレジストのシェア拡大のほか、先端分野向け高純度化学薬品の伸長等によって市場成長率を大幅に上回り、3期連続で過去最高業績を更新することができました。また、2023年の半導体市場は調整局面が続き前年比10.3%*1の縮小が予想されるものの、2024年には生成AI市場の拡大等をトリガーに再び過去最大規模*1となることが予想されているほか、2030年には前述の通り1兆ドル規模になることが予測されており*2、当社を取り巻く中長期的な事業機会は、かつてない規模に極大化していると申し上げられます。この機会を着実に取り込むための新たなキャッシュアロケーションとして、中計の当初計画に対し150億円を追加配分し、3ヵ年で過去最大の600億円の設備投資を国内外で実施していきます。
*1 出典:世界半導体市場統計(2023年6月公表) *2 出典:ドイツ電気・電子工業連盟(2023年3月)
慢心を戒め、極大化したリスクに対応し続ける
一方、当社グループを取り巻くリスクは、極大化した機会と対称を成すかのように拡大していることから、過去3年の好業績に決して慢心せず、細心の注意を払いながらリスク対応策を実施していきます。まず前述の「過去最大の設備投資」においては、上場以来初の営業赤字を計上したリーマンショック時の教訓を踏まえ、「稼ぐことは貪欲に、使うことは憶病に、使うと決めたら大胆に」という姿勢を再度徹底し、強い財務基盤のもとでキャッシュ創出力を最大化しながらROIC活動も進化させることで、筋肉質な体質を維持していきます。
また、世界的な脱炭素化の加速による化石燃料への投資控えやコロナ禍からの世界経済の回復、ウクライナ危機等を背景とする原材料価格の上昇圧力と逼迫に対しては、2022年12月期は売価調整策(販売価格への転嫁や原材料価格に連動した売価決定方式)の適用範囲を大きく広げ適正利益を確保したほか、需給をリアルタイムでモニタリングし、月次サプライチェーン会議で迅速に意思決定することで、お客様への安定供給とサプライチェーンの維持に注力しました。今後は国内外のサプライチェーン全体を俯瞰しながら次なる需給逼迫に備えた戦略投資を前広に進め、レジリエンスをさらに高めた積極的なサプライチェーン戦略を展開していきます。
「集中生産モデル」と「地産地消モデル」を駆使しながら、
社会的インパクトの波及を望む
世界各国が半導体を戦略物資と位置づける気運や米中対立、ウクライナ危機が相まってますます高まっている地政学リスクについては、今後もお客様のグローバル多拠点化や自国生産回帰に柔軟に対応するほか、日本・米国・中国・韓国・台湾の5地域からなるグローバルネットワークをフル活用しつつ、フォトレジストは「集中生産モデル」、高純度化学薬品は「地産地消モデル」で生産するなど、事業ポートフォリオと地域ポートフォリオを最適に組み合わせることで柔軟に対応していきます。そして、巻頭でお伝えした通り「幸福度にあふれる豊かな未来社会」の実現を目指す当社グループは、今後も技術的深化を通じてイノベーションに資する高付加価値製品を提供し、お客様とともに創る社会的インパクトが、世界中の方々に波及することを望んでいます。それにより、世界各地で進み始めている「分断」が少しでも緩和され、「幸福度にあふれる社会」に近づくことが当社グループの願いであり、「社会の期待」でもあると考えています。
自己変革
装置事業の譲渡により、新たなM&E戦略をスタート
2022年12月期は、このように極大化した機会とリスクに当社グループ一丸となって対応し、今後も持続的な成長と企業価値向上を実現していくための布石として、まずは2つの自己変革を決断しました。
その1つ目が、装置事業の譲渡による新たなM&E戦略のスタートです。当社は1971年にプラズマアッシング装置を開発以来M&E(Materials & Equipment)戦略に注力し、現像装置や塗布装置、液晶パネル用プロセス機器のほか、UVキュア装置やウエハハンドリングシステム「Zero Newton®」など、ニッチな領域に特化した独自の製品展開により厚い顧客基盤を構築してきました。特に液晶パネル用プロセス機器は2000年代に一時代を築いたほか、プラズマアッシング装置はパワー半導体向け、Zero Newton®は2.5~3次元半導体向けにリピート受注を伸ばすなど、当社ならではのM&E戦略は、明確な付加価値や社会的価値を提供しながら一定の成果をあげてきたと自負しています。一方収益面では、液晶パネル市場の構造変化やリーマンショックを経て事業規模が縮小し、開発特化型のファブレス方式の強みを活かしきれなかった影響等もあり、近年は7期連続で赤字を計上するなど厳しい状況にありました。
高度なソリューション提供が求められる半導体産業において、今後も材料・装置・プロセスの3つの側面から特性を合わせこむM&E戦略を進化させつつ、同事業の「稼ぐ力」を再生していくための最適な方法は何か ― 国内外で複数のスキームを考案のうえ熟慮して出した結論が、装置専業メーカーとして大きな強みを持つAIメカテック社への事業譲渡と協業契約です。ハードウェアとしての装置事業の運営は同社に委ねる一方、M&E戦略による協業基本契約に加え、同社株式の20%弱を取得することで、経営に一定の影響力を持ちながら同社と強固な関係を築き、材料メーカーとしての企業価値を高めるためのM&E戦略のさらなる発展を目指していきます。
ガバナンスの進化に向けて、監査等委員会設置会社へ移行
自己変革の2つ目が、コーポレート・ガバナンス体制における、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行です。当社は今後も「永遠のベンチャー企業」であることを企業風土の1つとして継承し続ける一方、「TOKVision 2030」で掲げた売上高2,000億円、EBITDA450億円の達成に向けては、事業規模の拡大にあわせたレジリエントな組織づくりを行い、コーポレート・ガバナンスも進化させる必要があることから、同体制へ移行しました。取締役会の重要な業務執行決定権限の一部を代表取締役に委任のうえ、特に今後の成長戦略や事業ポートフォリオのあり方、リスクマネジメントや人的資本戦略を含むサステナビリティに関する本質的な議論を深めていきます。また、議決権を持つ社外取締役が過半数を占める監査等委員会が、当社グループの様々な業務執行を多様な視点でモニタリングすることで、取締役会と現場の距離が近く、より透明性の高い経営を実現していきます。
tok中期計画2024とマテリアリティへの取組み
マテリアリティ「イノベーションへの貢献と社会的価値の創造」が大きく進展
前期よりスタートした「tok中期計画2024」においては、5つの重点戦略とマテリアリティを密接に連動させることで、TOK Vision 2030で掲げた経営ビジョン「豊かな未来、社会の期待に化学で応える“The e-Material GlobalCompanyTM”」の実現に向けたPDCAを回しています。2022年12月期はマテリアリティ「イノベーションへの貢献と社会的価値の創造」への取組みにおいて、前述の通りディフェクト低減等による技術的深化によってEUV/ArF用フォトレジストの売上高が拡大した結果、重点戦略「先端レジストのグローバルシェア向上」および「高品質製品の安定供給とグループに最適な生産体制の構築」が大きく進展しました。
次なるインパクトの創出へ向けて、「熱をコントロールする材料」を究める
重点戦略「電子材料および新規分野でのコア技術の獲得/創出」においては、2040年の「100年企業」への発展に向けて、フォトレジスト・高純度化学薬品に並び立つ新規事業の開発に注力しています。2022年12月期は、ライフサイエンス関連材料において自社ブランドの細胞配列チップ「SIEVEWELL™」が創薬スクリーニングやがん治療の現場向けに大きく浸透し始めたほか、臨床現場の効率化に寄与するDNAシーケンサー向けバイオチップ製造用材料も、堅調に推移しました。
また、当社は新規事業/既存事業を問わず「光をコントロールする材料」「熱をコントロールする材料」「表面をコントロールする材料」の開発に注力していますが、特に「熱をコントロールする材料」においては気候変動リスクの低減に向けて人類がチャレンジすべき課題が多く残されており、注力分野として定めた「グリーンエネルギー」と同様、「豊かな未来」「幸福度にあふれる社会」を実現するための大前提であると考えます。2022年12月期は当テーマにおける新規製品開発として、半導体や電子部品の発熱に対し、冷却ファン等を必要としない排熱部材「輻射型放熱材料」の開発を進めました。同材料を電子部品等の熱源に貼るだけで熱輻射機能による冷却効果が得られ、放熱シート設計による小型化や省スペース化も可能であるほか、環境にやさしい原材料構成とすることで、「機能」「組成」の双方でサステナビリティを実現しています。同材料の潜在市場は車載デバイスを含め数十億円規模が見込まれるほか、将来的には適用範囲を拡大することで、より大きな経済的価値と社会的価値を生み出す可能性があります。引き続き「熱をコントロールする材料」にまつわるロングランの研究開発に注力し、次なる社会的インパクトへの貢献につなげていきます。
中期計画の重点戦略として、従業員エンゲージメントの向上に注力
ここまでお伝えした通り従業員の幸福度の追求を起点に社会的インパクトへの貢献を目指す当社グループは、マテリアリティ「人材の幸福度の追求」および中計重点戦略4「従業員エンゲージメントを向上させ人を活かす経営を推進」に注力しているほか、2022年12月期より役員報酬の評価軸の1つとして従業員エンゲージメント指数を導入し経営陣も強くコミットすることで、従業員エンゲージメント向上に向けた取組みを加速しています。
具体的には、年初よりスタートした役割等級制度に基づく新人事制度を走らせながら詳細な制度設計と導入を進めたほか、2022年9月には、一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏をはじめとする発起人により設立された「人的資本経営コンソーシアム」に入会し、人的資本経営の実践に関する先進事例の共有、企業間協力に向けた議論、効果的な情報開示の検討に参画しています。そうした中、昨年の統合レポートでお話しした「人財のバランスシート」「技術のバランスシート」「人脈のバランスシート」の作成については経理財務本部長と連携しながら研究を進めており、非財務資本の価値を定量的に計測しながら磨き、蓄積し、活用し、資本間のシナジーの最大化を図ることで、企業価値向上につなげていきます。
「豊かな未来」の大前提として、
マテリアリティ「将来世代を見据えた地球環境の保全」に取り組む
また、当社が目指す「豊かな未来」「幸福度にあふれる社会」の大前提として、社会的インパクトへの貢献と密接に関連するマテリアリティ「将来世代を見据えた地球環境の保全」への取組みにも注力していきます。2022年12月期は特にカーボンニュートラル実現への取組みが進捗し、半導体の微細化による低消費電力化への貢献が進展したほか、パワー半導体向けのi線用フォトレジストの販売や、SiC(炭化ケイ素)/GaN(窒化ガリウム)など次世代パワー半導体向け材料も堅調に推移しました。加えて、より先進的な脱炭素への取組みに参画すべく、脱炭素ベンチャーへの支援を中心とするベンチャーキャピタル「UMI3 号ファンド」に2022年10月より出資しています。
そして、2030年までの長期環境目標の達成に向けた取組みとして、2021年9月より国内全主要拠点の購入電力の70%以上を再生可能エネルギー由来に切り替え、2023年2月からは100 %を切り替えました。これにより、再生可能エネルギー由来の電力導入前と比べ年間約20,000トンのCO2排出量削減を実現していきます。
今後は、これら一連の脱炭素にまつわる機会とリスクへの取組みによる財務的影響をTCFDの枠組みに沿って把握、開示していくことで、当社の成長戦略を精緻化していきます。特に水リスクについては、近年は当社の主要生産拠点の1つである台湾で顕在化しつつあることを強く意識し、現地での対応策やグローバルネットワークを活用したリスク低減策を講じていきます。
独自の会議体として「取締役協議会」を設置し、
サステナビリティ・ガバナンスの要としても機能させる
マテリアリティ「レジリエントな組織づくり」においてガバナンス実効性の強化に取り組む当社は、前述の通り本年3月より監査等委員会設置会社に移行したほか、取締役会と現場の距離が近く、より透明性の高い経営を実現するための第一歩として、当社独自の会議体である「取締役協議会」の運営を開始しました。取締役会メンバーに執行役員と関係部署長および担当者を加えた同会は、自由闊達な議論を通じて経営課題に対する様々な意見交換を行い、抽出した方向性を取締役会や執行役員会にフィードバックしています。同会はサステナビリティを含むガバナンスにおける中核的組織としても機能し始めており、人的資本への投資やリスクマネジメント、カーボンニュートラルへの取り組みについての課題抽出や建設的な議論を行い、ESG/サステナビリティ課題やマテリアリティへの取組みにおける取締役会での議論、決議へとつなげています。
当社グループは、今後も「豊かな未来」の実現に向けた社会的インパクトに貢献し続けるとともに、上記一連のマテリアリティへの取組みに各現場はもちろん、取締役会が関与することにより、短期・中期・長期的な成長阻害要因を軽減し、資本コストを低下させることで持続的な企業価値向上を実現していきます。具体的には、前述の「取締役協議会」での議論を踏まえ経営層と現場、取締役会が連携しながらサステナビリティ・ガバナンスを効かせていくとともに、私自身がリーダーシップを発揮することで、サステナビリティ活動を通じた企業価値向上に邁進します。
これからも、東京応化のパーパスに基づく価値創造と、社会的インパクトへの貢献に、是非ご期待ください。